聞こえが正常なうちはなんら疑問を感じない、 「音が聞こえる」ということだからこそ、 聴力に異常が出てくると、不安が大きくなるようです。
先天的に、生まれつき聴覚障害を持っている人もいる一方で、 後天的に聴覚障害を生じる人もいます。 聴覚障害の程度は人それぞれで、 「ろうあ」と呼ばれる全く音のない世界にいる人から 小さな音が聞こえない軽度難聴の人まで、聴力に差があります。
音が聞こえない人のコミュニケーション手段として、 手話が知られていますが、軽度難聴のようにある程度 音が聞こえる人であれば、手話よりも補聴器の方が馴染みやすいことがあります。
特に、後天的に難聴を発症した場合、 それまで、問題なく音が聞こえていた経験がありますので、 補聴器を使うことで、よりもとの生活に近づくことができるのです。
しかし、この補聴器の使用にはポイントがあります。 補聴器はあくまで補聴器であって、聴覚を正常にする機械ではありません。 そのため、健聴者のように聞こえるようになることはほとんどありません。 仮に、よく聞こえたとしても、補聴器自体が発する雑音に悩まされたり、 音は聞こえるけれども会話の内容が聞きとりにくいといった 問題を生じてしまったりするのです。
補聴器の電池の交換やボリューム、スイッチの操作といった 取り扱いを難しいと感じる人もいます。
老人性難聴のように、高齢であることにより難聴を生じた場合は、 補聴器への適応が難しい場合も多いようです。 補聴器に満足できない場合、補聴器を頻繁に買い換えるという 事態を生じてしまうこともあります。
このように補聴器に満足できない場合、 他のコミュニケーション手段を考えることも有効です。 近年は、そのコミュニケーション手段として、インターネットが活躍しています。
メールなどがそれに当たります。 インターネット回線を利用したFAXも注目されてきています。 興味のある人は、調べてみてください。
ひとくくりにできない聴覚障害
耳が不自由な人がコミュニケーションをとる手段として、手話が知られています。 手話は聴覚障害者だけが利用するものではなく、健常者が聴覚障害を持った人とコミュニケーションをとるために使ったりします。 そのため、大学や地域などに、手話サークルがあったり、企業研修で手話を習ったりします。
しかし、そこには聴覚障害者は、手話ができるという前提があるように思えてなりません。 俗に言う聴覚障害には、様々なタイプがあります。 聴覚障害になったいきさつや、その後の生活は人それぞれで、それをひとくくりにして、タイプ分けをするのも本当はおかしいのかもしれませんが、分けると次のような形になります。
まず、いつから聴覚障害になったのか。 これは、先天性と後天性に分けられます。
また、先天的に聴覚障害があり、さらに悪化したケースのように、両方の要素を兼ね備えていることもあります。
また、聴覚障害といってもその程度は様々で、全く聞こえない場合はもちろんのこと、軽度の難聴も聴覚障害に当たります。 分類すると、ろうあ・高度難聴・中度難聴・軽度難聴となります。
よって、聴覚障害と一口にいっても、抱えている問題は様々です。 先ほど手話について触れましたが、聴覚障害になって間もない・高齢になってから聴覚障害になり手話が覚えられない・手話を覚える機会がないというように、手話をできない聴覚障害者もたくさんいます。 そのような方は筆談や読唇術などをコミュニケーション手段としています。
他に、障害の種類や程度によって、補聴器をつければ会話が可能という人もいます。 もちろん手話を覚え、健常者も聴覚障害者もコミュニケーションを取れる相手を広げることは、有効ですが、聴覚障害には様々なタイプがあることを忘れてはなりません。 また、聴覚障害者はコミュニケーションを必要とするとき、相手にどのようにして欲しいのか、手話か筆談か、はたまた大きい声でしゃべって欲しいのか、はっきり伝えることが大切です。